本の切り口
私は月に三、四冊の文庫本を読む。主に通勤の行き帰りと、就寝前に読む。寝しなに読むのは自然に眠たくなるので、ちょうど良い具合に眠りに入れる。しかし時には物語りに引き込まれ、深夜、いや夜明け近くまで読みふけってしまうこともある。
以前は新品の本ばかりを買っていたが、最近はよく古本を買うようになった。古本を買った場合、表紙の紙カバーは付けてくれないので、紙カバーがよごれたり、すり減ったりして見苦しくなった時に新品の本を買うようにしていたが、最近100円ショップで文庫本のカバーを見つけて買ったので、その後はもっぱら古本ばかりを買うようになった。
新品の本を買うと、その本から何とも言えない匂いがする。紙やインキの匂いだろうか、私はこの匂いが大変すきである。また、紙がきれいに揃っていて、模様のようにも見えたりする三方の切り口がとても気に入っていて、ページをめくるときに結構意識してその切り口を眺めることがある。この切り口に関して言えば、古本といっても捨てたものではなく、たいていの本は見事な切り口をそのまま残しているのである。雑誌のように紙の色や種類が違ったものが混ざっていない文庫本の、このきれいな小口が私は大好きだ。
今朝、テレビのニュース番組で、電子ブックが話題になっていて、日本はアメリカに比べて電子ブック化が遅れていることや、その要因が述べられていたが、いずれ電子ブックでしか本を読まない世代が出現し、そうなれば、いやでも電子ブック化はさらに加速するだろうというような話が出ていました。
いつ、その時代がくるのか、翻訳・印刷に携わっている私たちも今後、なんらかの形で電子ブック制作に関わっていく事になるかも知れないが、インキの匂いや、紙の見ため模様や手触りのように味わえる何かが、果たしてこの電子ブックなるものが、持てるのかどうか、などとつい思ってしまった今朝の電車の中でした。
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