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台湾語異体字の話の続き

Posted by : 呂咏鴻.

去年、私は、台湾で異体字と正体字の共存で台湾の漢字使用の混乱気味といった現象について投稿しました。最近新しい例に出会いました。中国人にとっても大切な知識ですね。ここで簡単に例を挙げます。

1.「為」、「爲」、「为」

台湾語の正体字は「為」です(台湾教育部国語辞典による)。「爲」は台湾では異体字として認識されているようで、使うのも少ないみたいです。最近の仕事の中でお客さんからのテキストには「爲」が使われていたのです。結果、DTPで文字化けしてしまいました。いろいろ調べて以下のように分かりました。

「爲」:本来の繁体字で、比較的古い。篆書、早期の隷書で見られるそうです。手書きであまり書かない。台湾の異体字。

「為」:「爲」の隷書(篆書が簡略化されてできたもの)からの字だそうです。学校教育では「為」を教えられる。台湾の正体字。

「为」:中国大陸は以上の二文字を全部「为」に簡略化し統一(草書楷書化字)。繁体字・異体字を一切廃止したのです。

なので、中国人としては「爲」を見たとき違和感はありません。書道や歴史旧跡などで本来の繁体字は「爲」です。漢字の源流・発展・変化はここで別の話ですが、一つの地区・社会の中では、統一・規範は問題ですね。これについては、お客さんだけではなく、「爲」を使う台湾の学者の論文も検索されました(台北市立大学曾榮汾氏論文『異体字三論』http://diction.sg1002.myweb.hinet.net/dict2006/doc/05doc.pdf)。規定された標準でも使われている数でも台湾は「為」なのに……

2.「裡」、「裏」、「里」

この間の仕事では、お客さんからのテキストには「裏」という字はDTPで文字化けして出てこなかったのです。「裡」で入れればいけそうです。その理由としては、

「裡」:台湾の正体字です。(台湾教育部国語辞典による)方位名詞、中という意味です。

「裏」:「裡」と同じです。「裡」の異体字です(台湾教育部国語辞典による)

「里」:発音は上の二文字と同じですが、意味は「さと」、「距離単位、さらに内部(古文の中では「裡」と通用するので)などの意味です。

大陸簡体字は昔「裏」(繁体篆書)という字も通用していたが、現在以上の三文字を全部「里」に簡略化し統一したのです。なので、中国大陸の人も台湾人も「裏」を繁体字として見たとき違和感はないですね。異体字は一番標準的な字ではないのでDTPで出てこない場合もありますね。

さて、世界中の漢字を使っている中国語社会(大陸、台湾、香港、海外華人華僑地区)では、簡体字と繁体字に関する批判と論争は長い歴史の中でずっと続いてきました。もちろんイデオロギーを持って文化の角度で簡体字を批判することも少なくなかった。一体簡体字はどれぐらい漢字文化さらに中華文化を破壊してしまったかはとりあえずここの話題ではないが、一つの社会の内部では言語文字使用の標準化は必要だと思われています。それは台湾社会でもこのような議論が見つかりました。http://www.tvbs.com.tw/news/news_list.asp?no=blue20101207172530  これは台湾のTVBSテレビ局の「道では正体字や変体字(異体字・大陸の簡体字と違った簡略手書き字)が混用されて人々が困る」といったニュースです。台湾の学者も規範にあった文字を使うべきだと提言したそうですね。

 

■コメント

bangja :

日本語で、裡と裏は通じるところがあります。たとえば成功裏という言葉は、もともと成功裡と書いていたように思います。だけど裏と里は別ものと思っていました。
以前に、繁体字で、フォントによって点の向きが違っていたりしていて、お客様から何度もなぜかといわれたことがあります。日本語の漢字なら少し違っていても気にならないのですが。でも漢字っておもしろいですね。

呂 咏鴻 :

そうですか。「成功裏/成功裡」二種類あるのを調べましたね。勉強になりました。ありがとうございました。確かにフォントによって簡繁日中韓それぞれ違ったりすることもありますね。細かいところで普通は気にならないがDTP・出版物では厳しくて難しくなりますね。でも確かに面白いですけどね。

koja :

勉強なりました!沖縄では特殊な名字が多く、伊礼(いれい)伊禮(いれい)※伊禮(いれい)※ころもへんやったり   ※パソコンで出ませんw
恥ずかしながら隷書が、DTPやってて知識不足で知らなかった! 勉強なります

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